影宮さんと二人、二日目の朝のように鏡を警戒しながら家に戻った。


「ただいまー」


昼を回ってしばらくしか経っていないから、誰の返事もない。


まあ、いつもの事だし、何とも思わないけど。


「お邪魔します」


玄関に入るなり、キョロキョロと辺りを見回しす影宮さん。


どこに鏡があるのか確認しているのか、その目は鋭い。


「えっと、うちにある大きな鏡は、そこの洗面所と、浴室の中、後は和室の鏡台くらいかな?」


小さなものを入れたらもう少しあるけど、それは気にする程でもない。


「ありがとう。それなら何とかなりそうね。怪しい所は私が先に行くから、桐山さんが指示してくれるかしら?」


それは私には思ってもいなかったありがたい申し出で、こちらからお願いしたいくらいだった。


「こっちこそありがとうね。影宮さんがいなかったら、家に帰っても怯えてたかもしれない」


安心して家に上がり、脱衣所のドアが閉じている事を確認して、私は影宮さんをリビングに通した。


丸一日以上放置した、お弁当箱を流しに置いて、お昼ご飯にとカップラーメンを棚から取り出す。


「影宮さんはお昼ご飯ある?なかったらカップラーメンなら……」


「大丈夫よ、お弁当があるから」


言い終わる前に返事をしてくれたから、カップラーメンを一つ棚に戻して、私は自分の分だけ準備する事にした。