生徒がいなくなった今が、鏡を探す絶好のチャンス。


……そう思ってたのに。










「ダメだ。今日はもう帰りなさい」










京介が運ばれたかもしれないと、立ち寄った保健室で原田先生と出会い、鏡を探す為に教室の鍵を借りようとしたけど……帰って来たのは予想外の返事だった。


「どうしてですか?欠けた鏡を探すなら、生徒がいない方が都合が良いはずですよね?」


影宮さんが、呪いを掛けるような怪しい眼差しを向けて、原田先生に詰め寄る。


「わ、私もそう思います。今なら誰にも邪魔されずに探す事が出来るのに」


二人に反論されて、明らかに困った表情を浮かべた原田先生。


「良いか?お前達の命を狙う生徒がいないとは言え、幽霊はお前達の命を狙っているんだろう?鏡の中の幽霊が、欠けた鏡を探しているお前達の命を。だったら、殺されるかもしれないという危険性はあるわけじゃないか。だったら、家で大人しくしていなさい」


30年前に、原田先生は今の私達と同じ幽霊騒動に巻き込まれた。


そのせいか、他の先生達と比べると、私達の行動に理解はあるし、パニックにも陥らない。


だけど、だからこそ、鏡に近付くのがどれだけ危険かという事をわかっているのだろう。