今ごろ、佳奈さんのところかな…

今日も一緒に帰るって
言ってたもん



そう考えると、
なんだか切ないな…


「だめだめ、仕事しなきゃ」


頭をふって切り替えると
ペンを握って、日誌に向きなおった








「…ふぅ、終わったぁ…」



日誌を書き終えて
大きく伸びをすると、立ち上がった



黒板も消さなくちゃ…

慌てて、壇上にあがって
黒板消しで消し始める




「……、」


綺麗になった黒板を見つめて
白のチョークを手に取った



隅っこに、小さく書いた
‘好き’の2文字



この言葉に、私の想いが
どれだけ詰まってるんだろう


伝えれたら
どれだけ楽なんだろう…



一之瀬くん…




「…好き…」



小さく吐いた言葉は
窓から吹く風に去らされていく





私…、

大好きなんだなぁ…一之瀬くんのこと



一之瀬くんが
他の人を好きって分かっていても
嫌いになれない…





黒板を見つめる視界が
うっすらと歪む