静かな風が吹く教室



「…もう、大丈夫だよ」


落ち着いてきた私は、体を離そうと
池田くんに話しかけた




「…やだ」


「…え…?」



「もう少しだけ、このままでいろ」


いっこうに離す気がない池田くんは
私の背中にまわす手にギュッと力を込める




「…池田くん…?」



どうしたんだろう…



不思議に思って、名前を呼ぶと
そっと体が離れた


顔をあげると、
池田くんの綺麗な顔が目の前に…



「…っ…」


ち、近い…っ



あまりの、近距離に
顔がかぁっと熱くなるのを感じた




そんな私を見て
池田くんは、不敵に笑うと



「加藤は、泣いた顔もかわいいな」


耳元で、そう囁いた




「…っ、」


思わず顔をあげて、
池田くんを見上げる



池田くんは私の頬を優しく撫でると
そっと私の体を抱きしめる




「俺、加藤が好き」







トクン、





胸の奥が、軋むように音をたてた


















新しい、恋がはじまる予感…







fin.