「千佳、不器用だもんね…」



苦笑いして眉を下げる彩花ちゃんは
私の頭をポンポンと撫でる




うぅ…、


どうしても料理は、苦手なんだ…

今回もどうせ、失敗するだろうなぁ…



肩を落として落ち込んでいると


「あっ」


なにかを思い付いたように
彩花ちゃんは、私の顔を見る



「…さっき、一之瀬くんに
 助けてもらったんだし
 お礼もかねて、作ったパウンドケーキ
 プレゼントしたら…?」



「…ぇええっ」


目をキラキラさせて言う彩花ちゃんに
驚いて、思わず声が裏返る



「む、無理だよっ

 失敗したものなんか、あげれないよ…」


首をブンブンと横にふって
必死で抗議するが…




「失敗しないように、練習すればいいの

 大事なのは、行動するかってこと」




彩花ちゃんのその言葉に
私は、ハッとした



行動するか…、逃げるか…



…、

そうだよね…



「がんばってみる」


拳をぎゅっと握って、私は顔をあげた


逃げてばっかじゃダメだよね




「千佳、えらい」


彩花ちゃんは嬉しそうに
手伝えることあったら言ってね、と
優しく微笑んでくれた