「…、ふっ…」



ポツリ、ポツリと落ちる涙




静かな教室に
押し殺した泣き声だけが響く




これで、泣くの
何回目なんだろう…


泣いてばっかで、臆病だなぁ…私



泣き止んで、って思うほど
涙は止まらなくて…



私は唇を噛み締めた






ーーーガタッ


突然、教室のドアが勢いよく開いて
私はびくっと肩を大きく揺らす


慌てて、ゴシゴシと瞼をこすって
ドアのほうを見る





「…なんだ、加藤か…」



そこに立っていたのは
同じクラスメイトの池田直くん


整った容姿に、少しクールな性格で
一之瀬くんと同じくらい人気がある男の子




私は、ほっと肩を撫で下ろして


「…わ、忘れ物…?」


疑問をこぼす




「…まー…、そんなとこ…」

池田くんは、ぶっきらぼうに言うと
自分の席に向かう


私も何気なく黒板に視線を戻して
ハッとする