ウチは昔、まぁ。小学校の時かな?
東京から大阪に引っ越してきた。
だから友達とかが全然いなかった。
でも話しかけてくれた唯一の友達が
あの人…

添乗蒔 凛弥 テンジョウジリンヤ

凛弥君はウチが転校してきた日からずーっと喋りかけてきてくれた。
おかげで友達もいろいろと作れた。

そんな楽しい毎日に浮かれてたウチに不幸が降ってきた。
最愛の妹が死んだ。

親は共働きで朝の4時に帰ってきて朝の9時には出る。そんな両親だった。
それで唯一の話し相手が妹の

紅琉芭 クルハ

だった。
紅琉芭は夕御飯の材料を買って帰ってる途中に信号無視のバイクに跳ねられて即死だった。
でも親は紅琉芭のお通夜もお葬式も来れなかった。いや、来なかった。
言い訳は

「仕事なの」

「仕事が忙しくて行けそうにない。」

ウチは絶望してしまった。
最愛の娘のお通夜やお葬式に出ないとか
そんなにウチ達の事が嫌いだったのかと…

ウチはしばらく学校に行かなかった。
だけど毎日毎日凛弥君が連絡帳を届けに来てくれていた。
ある日いつもは鳴らさないチャイムを鳴らしてきた凛弥君は様子がおかしかった。

焦っていると困っていると悲しんでいる
ウチは少しだけ思った。
もしかしたら引越しするんじゃないかって…

ウチは急いで階段をかけ降りた。
そしてドアを開けたら
いつもの凛弥君が立っていた。

ここでウチはやっぱり何もないと思った。
だがそんな事を思ったのも一瞬で終わった
凛弥君が真剣な表情をして

「俺、今週の日曜日引越しする事になった。」

「え?嘘、でしょ?」

「嘘じゃない。本当の事」

「そう、なん、だ。そっか…。なら仕方ないよね?あはは…。」

ウチは何故か知らないけど涙が止まらなかった。
でも泣き顔は見られたくなかったからずっと下を向いていた。
そしたら凛弥君は

「大丈夫。きっと戻って来るから泣くな!」

って言ってくれた。
ウチは笑顔を凛弥君に見せて

「うん!絶対絶対戻ってきてね!待ってるから!」

と言って家の中に戻った。