あの頃のキミは


え…
この声…

3人そろってバッと振りかえると
そこには黒いスーツのベスト姿の凪くんが立っていた。

手には買い物袋、その後ろには灰色のワンピースを着た美佐ちゃんもいた。

ふたりしてかしこまった服装だ。

「…何か…あったの…?」

「…いや、人に会ってただけだよ」

そう言ってにっこり笑った凪くんだけど、どこか寂しそうな笑顔だった。
なんだか心配になって、凪くんの顔を見つめる。

そんな私たちをよそに、美佐ちゃんはつぐみと冬夜くんに自己紹介をしている。

いつも通り「美佐ちゃんって呼んでねー」って。