「じゃあさ、好きなヤツいんの?」

俺は顔を両手でふきながら質問を投げかける

いてっ!
少し砂が目に入ったかもしんねえ

「それは…」

「それは?」

「いるわよ、それぐらい」

ほほう

「ずばり、誰だ?」

「教えてあげない!ボケっ!」

そう言いながら砂をまたもや投げつけてくる

砂かけババアかよ、
そう言いたいが的中してしまった場合はこのフィールドではヤツの天下であるし、間違っていた場合でも砂が飛んでくる

口を開かずが吉

そう思い

「つまんねえの」

これだけ言っておいた

「そういうあんたはいんの?その、好きな人とか」

そして視線が俺に向けられる

目があった、
少しの緊張感

「俺にはいねえ」

答えると、そっかとだけ呟いてこいつは、視線を落とし体育座りに姿勢を変えた

「でも、気になってるヤツはいる」