中学3年の夏。
私は、地元の駅からたった2駅先の街の夏祭りに来ていた。

数年ぶりに、黒い花柄の浴衣に身を包み、私は夏祭りを満喫していた。
夏祭りに一緒に行ったのは、男子4人。女子3人というなんとも言えない組み合わせだった。

私は昔から、男勝りで男友達が多かった。
この男子4人も、当然私の男友達である。

小学4年の頃からの付き合いの、後藤健斗(ごとうけんと)と佐藤裕也(さとうゆうや)。
中学で3年連続で同じクラスの、小俣直樹(こまたなおき)。
そして、私の初恋の人。内田壮介(うちだそうすけ)。

物凄くイケメンとまではいかないが、顔はそこそこ整っていて、なりより優しい性格の持ち主。
人を思いやれる、心がか綺麗な人。
いつ、どの瞬間に壮介のことが好きになったのかはわからないが、こういう人のいいところに惹かれたのは確かであった。

「日花里、大丈夫か⁇」
「え、あ、うん‼︎何でもない!大丈夫‼︎‼︎」
「財布、空いてるぞ。」
「え⁇」

ぼーっとしていたせいか、財布の小銭を入れるファスナーが全開で、いくつか小銭に落ちそうになっていた。

「あ、ありがと。」
「ぼーっとしすぎ。」
そういって笑った直樹。

「ひかちゃん、かわいい♡」
そんな私を見て、こう言ったのは勝呂美波(すぐろみなみ)。
細くて、女の子らしく、よくモテる。
ただ、少しだけ変わり者であった。

「なんも、可愛くないよぉ〜‼︎」
「日花里はかわいいよ‼︎」
「すーさんまで‼︎何ムキになってるの⁉︎」
すーさんこと、植松菫(うえまつすみれ)。
菫は頭が良く、いつも学年で1位の常連となっている。


こんな、個性溢れる7人で祭りを満喫していた。