一は気付くとベッドの上にいた。いま何時だろう。

夢だったのか。
いや現実だった。

下半身が丸出しになっていた。

頼むからズボンくらいはかせてくれよ。

カツン、カツン、カツン

足音が近づいてきた。

ガララ

「あらぁ、捕まっちゃったのね?かわいそう」

髭でオカマの警察だった。

じろじろと一の下半身を眺めている。
かなり恐い。

「また後でくるわ♪」

チュッ

毒物を投げられたようだ。それで十分三途の川が見えた。

一はしばらくぼーっとしていた。今までの人生が走馬灯のように駆け巡った。

母さん、俺、いい子じゃなかったけど、あの記者会見、ちょっと嬉しそうだったぞ。

ひよこ、お前、やっぱり腹黒い女だったんだなぁ。

さっきの豚、次あったらひき肉にしてやるからな。

イナズマ、一緒に東京にこれて、俺は幸せだったよ。

カツン、カツン、カツン

また誰かがきた。

ひよこだった。

「ひよこ…」

「きちゃった…一君…」

「…私ね、一君に内緒にしてたことがあって。ずっといいたかったの。どうしてもいいたくって。無理に面会させてもらったのよ」

「…なに?」

あんなに裏切られたのに、何故か顔をみると全て許してしまう。お前は本当に不思議な女だよ。愛してるぜ。例えお前がどう思おうと、世界が終わりだとしても…。

「わたしね…」

「なんだい?」

おそらく最後の会話。一は全てを受け入れ、人生最後の女を愛し続けることを心に誓っていた。

「…実は男なの」

「もう帰ってくれ!」

前言撤回。早く死なせてくれ。もう思い残すことはない。