一には恋人がいた。百貨店で働く一の売り場の前の売り場の子でひよこという名前だった。

大きな通りに出るとフルフェイスの一に警察は気付く様子もなく、順調にひよこの家までついた。

「ひよこ!俺、一だ。いる?」

今日はひよこは非番で家にいるはずだった。

「一?いや!こないで!あなたをかくまったら私も死刑になるじゃない!帰って」

なに?死刑?会社遅刻したら死刑になったの?ジャパンは…。

「なわけね〜だろっ」

もう返事はなかった。

変わりにパトカーの音がした。

チャリン。と音がした。ひよこがキーホルダーのようなものを投げてよこしたのだ。
一はひよこの家を後にした。

こうして謎ばかりの午前は終え、時間は正午を迎えていた。