ピロロ、ピロロ
携帯の音で目を覚ました。

一(いち)は東京に上京して一年を迎える。食料品の営業で入社。とりあえずは現場の販売をと百貨店で販売をしていた。

「げげつ」

時計は9時半を回っていた。今日は9時には出勤していないといけない早番の日である。

やっべー!

急いで百貨店に連絡をいれた

−−留守番電話サービスに接続します。メッセージのある方は…−−

んなばかな。警備員か誰か、でるでしょ…

−−…ッセージのある方は、発信音の後に…、電話をおきり下さい。
ピーーー…ぷつっ。
ツー、ツー、−−

なんだこりゃ。なんだよ。いまの”ため”は…。発信音いらないでしょ。とにかく売り場の誰かに電話をしなきゃ

−−お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません−−

一体…。何がおきたんだ…。

急いで表に出た。とにかく出勤はしないといけない。

正面に大家がいた。目を丸くしている。

「あ…あ…」
声にならない悲鳴をあげてささっと立ち去っていった。

なんだよ…

歩道にでると、やけに回りの視線が気になった。

なんだよ。気味が悪いな。

電車の改札口に着き、ICのSuicaをかざすと、

ポーン

明るい音がした

−警備員を、およびください。警備員を、およびください。警備員を、…−

何?壊れた?

ざざざっと警備員が走りよってきた。

「そこまでた!」

え?みんな拳銃をむけている

「こちら、小金井警察、一を発見。ただいま確保します。」

「ちょっ。なにしたの?俺。」

何やらさっぱりで、一はSuicaを前に胸ポケットにいれようとした。

「抵抗するぞ!うてうて〜!」
パーン!パーン!

うわっ!と身構えたが一は無傷だった。

「上官殿ぉ!」
「どうしたぁ?」
「自分は、地球環境エコのため、狙撃練習は水鉄砲でしかしたことがありませんですぅ!」
「上官殿ぉ」
「お前もか?どうしたぁ?」
「自分も、同じ理由で狙撃練習は輪ゴムで行っていたであります!」
「もぉいいから、かせー」

一はもういなかった。