「・・・ん?」


牢の中の硬い質素なベッドの上で花音は目を覚ました。

丸くなって眠っている白亜を起こさないように起き上がる。

昨日に比べて、身体の痛みも少し楽になっていた。


「・・・起きたか・・・」

「あ、おはよう。風夜、身体はどう?」

「昨日に比べたら、いくらかな」


ベッドが一つしかなかった為、床で横になっていた風夜が身を起こしながら答える。


「ごめんね。ベッド使わせてもらって・・・」

「いや・・・」


その時、一人の兵士が牢の目の前に来た。


「食事だ」


そう言って、小さなパンと冷たいスープを入れてすぐに立ち去っていく。


「今の、この国の兵士さんだよね?」

「・・・今の兵や民にとっては、俺達は罪人で、仕える主は大臣ってことなんだろ」


言いながら、花音の分を渡してくれる。彼に礼を言ってから、花音は味気のないパンを口に運んだ。

味気ない食事を終えてから、どのくらい時間が経ったのか、幾つかの足音が二人の牢の前で止まり、鍵が開けられた。


「出ろ。ついてこい」


現れた兵は五人で、二人を囲むようにして歩き出す。

逆らうに逆らえず、歩いていくと、何故か地下水路へと出る。

それを不思議に思っていると、更に足音がして、驚いたような声も聞こえた。


「風夜!?花音!?」

「王様!?」

「父上!?・・・一体、これはどういうことだ?」

「どうって決まってるだろ?お前達を助けに来た」


言いながら、顔が見えるようにした神蘭に続いて、全員がその姿をさらしていく。

その中には、見たことのない人物が五人いた。