「それでお前達は何の用だ?」


立ち去ろうとしない火焔達に、風夜が声を掛ける。


「お前らも笑いにきたのか?兄上達を助けるつもりできて、自分が捕まった俺を・・・」

「違う!俺達は・・・!」

「・・・火焔、水蓮、大樹」


何かを言いかけた火焔に、風夜が静かな声で名を呼ぶ。


「お前達は陰の一族へ協力することを決め、俺達はそれを拒んだ。そこで俺達は道を違えたんだ」

「何?いきなり・・・」

「何が言いたいんだい?」


水蓮と大樹が風夜の言いたいことがわからないというように声を上げた。


「中途半端な立場は止めろって言ってるんだ。国を選ぶなら、俺達のことは切り捨てろ。・・・もう過去のような関係には戻れない。敵なんだよ、俺達は!・・・敵に情けはかけるな」


冷たい表情で言った風夜に、三人が息をのむ。


「・・・もう行け。・・・覚悟が決まるまで、もう俺達の前に現れるな」


そう言い、話は終わりだというように風夜は火焔達に背を向ける。

その背を火焔達は少しの間、見つめていたが、やがて諦めたように立ち去っていった。


「風夜・・・」

「・・・これでいいんだよ」


三人がいなくなり、沈黙に耐えられなくなった花音が話しかけようとした時、そう呟いたのが聞こえてきた。