「牢の中にはいないみたいだな」
風華達を助け出してから、幾つもの牢を見て見たが、王の姿はない。
「お父様、大丈夫かな?」
「風華ちゃん・・・」
「今日の昼までは一緒にいたんだよな。そもそも、何故急に別の場所に連れていかれたんだ?」
「さあな。だが」
「ああ。父上を置いていくわけにはいかない」
「でも、牢にいないなら、いるのは・・・」
星夢がそう言って、城の中へと続く扉を見た。
「やけに静かだね」
牢から城の中に移動し、花音は呟く。
牢の中とは違い、もう少し人の気配があってもよかったが、誰の気配もなかった。
「ねぇ、あそこ」
城の中庭が見えるところを通り掛かったところで、何かに気付いたらしい星夢が声を上げた。
「誰かいるみたいよ」
その言葉に中庭を見て、風夜、風華、空夜が目を見開く。
「「父上!」」
「お父様!」
三人にはそれが誰なのかわかったらしく、次々と走り出した。
「ちょ、三人共!」
「ピ?ピィ・・・」
そのあとを追おうとした花音だったが、急に怯え出した白亜に足を止める。
「白亜?どうし・・・」
「!?三人共、待って!そっちは!」
「!?来るな!」
震えている白亜に花音が声を掛けた時、星夢と此方に気付いた王の声が重なる。
その直後、王と風夜達の間に窮姫と四人の人物が現れた。

