「どうぞ」


少女の家に着き、人数分の紅茶をいれて、花音達に渡してくれる。


「ありがとう」

「それで、一体この状況はどうなってるんだ?」

「はい。・・・お二人が脱出した後、一度は国全体が陰に呑まれました」


話を切り出した風夜に、少女が話し始めた。

「陰に覆われたことで、光が当たらなくなり、まず影響があったのは植物です。草木は枯れ、作物は育たなくなり、そのせいで少なくなった食料を求め、トラブルはありました」

「・・・それで?」

「色々なものが足りなくなり、人々の心も荒れてきた時、一人の女性が現れ、こう言ったんです。・・・自分達の下へつけば、その者達を助けると。それを王や空夜様、風華様は突っぱねました。・・・ですが」

「・・・そうじゃない奴もいた?」


呟いた刹那に、少女は頷いた。


「街の人々は、疲れていました。そこにそんな言葉を掛けられ、多くの人々が飛び付きました。王達は、そんな人々を止めようとしましたが、陰の一族の言葉に乗せられた大臣に地下牢へ」

「そんな!?」

「大方、自分達の下へつけば、風の国の中で一番上の地位にしてやるとでも、言われたんだろ?」


吐き捨てるようにそう言った風夜に、少女は頷いた。