「姉上、あいつ、何かあったのか?」


光輝の屋敷へ戻るとすぐに与えられている部屋へ行ってしまい、食事にも姿を見せない風夜に、疑問を持ったらしい光輝が聞いてくる。

だが、花音にも訳はわからなかった。


(朝、起きてきた時はいつも通りだったよね)


思い出してみて、風夜の様子がおかしくなったのは、窮姫が引き上げてからだと気付く。

それでも、何が原因なのかは、いくら考えてもわからなかった。


「ピィ、ピ!」


夕食の時間にも姿を見せなかった風夜が気になったものの、眠気には勝てなかった花音は、白亜の鳴き声で目を覚ました。


「何?どうしたの?白亜」

「ピィ、ピィー!」

「?」


外を見ろと言うように窓際で騒ぐ白亜に、花音はカーテンを開け、外を見る。

すると、暗い中を出ていく人影が見えた。


(風夜?)


一度立ち止まった人影に、何故かその名が浮かぶ。


「白亜、私が行くまで足止めして!」

「ピ!」


誰にも見付からないように出ていくその姿に、嫌な予感がする。

このまま、一人で行かせてはいけない気がして、花音は白亜にそう言い、窓を開ける。

そこから白亜が飛び出していくと、花音も急いで部屋を出た。