数時間後、花音達は目を覚ました紫影の所にいた。


「少し長くなるけど」


集まった花音達を見て、紫影はそう前置きをして話し始める。


「俺達、陰の一族が追放されたのは知ってるだろ?・・・そして、お前達が知ってるのは、こうなってるはずだ。陰の一族の中に、強大な力を持った女がいて、その女が世界を支配しようと考え、それに賛同した一族が他国を攻めたと。・・・それは違う。俺達は利用されたんだ。昔も、今も・・・」

「利用って・・・」

「あの女は、陰の一族じゃない。姉上と兄上は、あの女を一族の者だと思っているみたいだけど、あの女の力は陰の一族のものとは違う」

「・・・確かに」


そこで紫影の言葉を肯定するように、風夜が口を開いた。


「あいつの力を前に受けた時、陰の一族の力とは別物のような気がした。陰の一族より、もっと得体のしれない禍々しい力をな」

「でも、どうしてお前は、その女が一族の者でないってわかったんだ」

「・・・見たんだよ。あの女が妙な奴と話しているのをな。・・・とはいっても、その相手とは鏡のようなもので、話していたから、姿はわからなかったけど」


凍矢の問いに紫影が答えた。

「それを見たのが、女が姉上達に接触してきた数日前。その時、既に不審感を抱いていた俺は、数百年の戦いで陰の一族を裏切り、宝珠を他国に渡した男の遺した記録を見て、確証したんだ。あの女は、その時の戦いで陰の一族を利用した奴と同一人物だってな」

「ち、ちょっと待って!同一人物って、数百年前の話でしょ?」

「まさかとは思ったさ。でも」

「同一人物としか思えないか。・・・ところで、さっきから姉上、兄上って言ってるけど、お前にも兄弟が?」

「・・・ああ」


光輝に頷いた紫影がちらりと花音を見た。


「花音、宝珠を取りに行った時、あの女と一緒に来た男を覚えているか?」

「う、うん」

「あの人が俺の兄、影牙。そして、お前達の前では聖と名乗っていたのが、俺の姉、紫姫だ」


紫影の言葉に、花音だけでなく風夜、夜天、雷牙も驚いているようだった。