「さてと、約束は守ってもらうぞ」


水蓮と大樹に助けられ、息を整えている火焔に風夜は言う。


「・・・わかってる。約束は約束だからな。・・・行けよ」

「えっ?でも、本当にいいの?」


賭け事態、風夜と火焔で勝手に決めてしまったことだ。

自分達を逃がして、三人が大丈夫なのか、花音は気になって聞くと、水蓮が複雑そうに笑った。


「・・・今でも、そうやって私達のこと、気に掛けてくれるのね」

「えっ?」

「ほら、もう皆、行ってしまうよ。・・・こっちのことは、気にしなくていいから行くんだ」

「・・・うん」


大樹に言われ、花音は風夜達の後を追おうとして、もう一度三人を見た。


「・・・あのね、今度いつ会うかわからないから、聞かせてほしいの。三人が国を守る為に、陰の一族に従っているのは知ってる。でも、本当のところ、どう思ってるの?」

「・・・本当はやりたくないさ。今まで築いてきた国と国の関係を壊したくはない。でも」

「私達は国を、民を守りたいの。貴女達を裏切ることになっても・・・」

「俺は、俺達は、風夜みたいに強くない。国を、民を捨てて、陰の一族と敵対することは出来ないんだよ」

「・・・違うよ。風夜は、本当は残りたかったと思う。でも、私が弱いからついてきてくれてるの。空夜さんや王様も、私を心配して風夜が一緒に来ることを許してくれた。・・・だから、私は強くならないと。強くなって、風の国を助けたいの。・・・だから、待ってて」

「えっ?」

「三人のことも、必ず助けるから!」

「花音、何してるんだ?行くぞ」


ついてこない花音に戻ってきたらしい風夜の声がして、花音は彼の所へ走り出した。