花音が出ていったのを確認して、三人はそれまで浮かべていた笑みを消す。

そこへ二人の男子生徒が近付いた。


「何か聞けたか?」

「・・・聞けるわけないじゃない。・・・聞ける状態じゃないよ」

「・・・うん。花音ちゃん、無理してた・・・」


口を開いた一人の男子に、梨沙と未央がそう返す。


「でも、わかったこともあるわ。・・・あの子は、間違いなく〈向こう〉の世界に行ってた。そして、〈向こう〉で彼処まで落ち込むほどの何かがあった。・・・今回の事態は、〈向こう〉の世界だけでは終わらない。・・・いずれにせよ、今は・・・」

「彼奴から目を離すな・・・か」


飛鳥ともう一人の少年が言い、五人は窓際に移動する。

五人が見下ろした視線の先には、校門へ向かっている花音の後ろ姿があった。