「入れ」
一つの牢の前で立ち止まった兵士が牢を開けて言う。
花音、琴音、美咲、星夢が中に入ったところで、気を失っている風夜、凍矢、刹那が投げ入れられる。
「「「っ!」」」
その衝撃で意識を取り戻したらしい三人を確認したあと、花音が牢の中を見回すと、驚いたように此方を見ている夜天、光輝、雷牙と目が合った。
「花音!?」
「な、何で戻ってきたんだ!?」
声を上げた夜天と雷牙の隣にいた光輝が立ち上がり、風夜に近付いて掴みかかる。
「お前!何で姉上を、また連れてきた!?向こうに居れば・・・」
「安全?残念だけど、向こうにいても陰の一族は襲ってきたわよ」
「それに、花音ちゃんを、止めなかったのは私達も、同罪。ちなみに、最終的に此方へ連れてきたのは、そこにいる刹那くんでーす」
「姉上、こいつらは?」
口を挟んだ星夢と美咲に、風夜から手を離した光輝が聞いてきた。
「本当に信用していいのか?その紫影って奴」
それぞれの紹介と花音達の世界であったこと、戻ってきてからのこと、脱出時のことを話したあと、腕を組んだ夜天が言う。
「そうだな。今までそいつの言ったことで、上手くいってたとしても、それが信頼を得るために仕組んでいたことだったらどうするんだ?」
「・・・大丈夫だよ」
続けていった雷牙に、花音はそう返す。
根拠がある訳ではないが、紫影が花音達に協力する理由は、もっと違うところにある気がした。

