「風夜、疲れてるところ悪いんだけど・・・」

「わかってる。お前らの準備が出来るまで、時間を稼げばいいんだろ」


そう言って、再び火竜が放ってきた炎を防ぐ。


「・・・ごめんね」


風夜の背に向けて呟くと、凍矢と紫影を見る。


「二人は火竜の動きを止めてほしいの」

「止めるって、そう長くは止めていられないぞ。いいのか?」

「少しでいいの。私が力を使って、火竜を元に戻す、その間だけで」


紫影にそう答えると、凍矢が溜め息混じりに口を開いた。


「こういう状況で動きを止めるなら、一番刹那が向いてるんだけどな。・・・今いない奴のことを言っても、仕方ないか」


そう言って、凍矢が能力を使うため、精神を集中させる。

それに続くように、花音も目を閉じて、集中し始めた。


(あと少し・・・!)


炎を防いでいる風夜が苦しそうに肩で息をするのを見て、焦りそうになる気持ちを落ち着かせる。


「凍矢くん!紫影くん!おねがい!」


声をあげると、視界の端で二人が頷き、火竜の足元から影が伸び、凍り付き始めて、拘束していく。


(今だ!)


集中して溜めた力を花音は放つ。それは火竜へ命中し、光が火竜の身体を包んでいった。