「皆、遅いね。見つからないのかな?」


飛竜の親子を見送ってから、数十分。まだ誰も戻ってこないのに花音は呟く。

その時、それまでのんびりと過ごしていた飛竜達がある方向、先程親子の竜が飛んでいった方を見た。

かと思うと、何かから逃げるように上空へと上がっていく。


「何?急にどうしたの?」


花音が呟いた時、先程の竜の親が飛んでくるのが見えた。


「ああ!?」


辛うじて飛んでいたのが、地へ完全に墜ちたのを見て、花音は駆け寄る。


「ピィ、ピィー」


近づくと、子竜が悲しげな声で鳴いて、親にすりよっていたが、親は身動きしない。


(火傷!?)


地に倒れている親の身体は、激しく焼けただれていた。


「一体、どうして」

「花音!」


その時、風夜の鋭い声と共に、花音の周囲を風の結界が包み、そこへ高温の炎が激しくぶつかった。