「見えた!あそこだ!」


風夜が言って、飛竜が降下していく。


「此処が、飛竜の里・・・」


飛竜から下りて、花音は辺りを見回す。

そこには、様々な色をした飛竜達がのんびりと暮らしていた。


「さてと、じゃあ、私達は自分達の飛竜を探してくるから」

「適当に時間を潰しててね」


琴音と美咲がそう言って、凍矢、刹那、星夢と行ってしまうと、その場には花音、風夜、紫影だけが残された。


「時間潰しててって言われても・・・」


呟いて辺りを見回すが、飛竜達が思い思いに過ごしているだけで、何もない。


「ピィ、ピィー」

「ん?何?」


その時、声が聞こえて、何かがぶつかってきた。


「ピー、ピィー!」

「わぁ!可愛い!」


見ると、翼を入れても三十cm位しかない竜が一生懸命羽ばたいていた。


「触らない方がいいぞ」

「えっ?」

「飛竜は生まれた頃は、臆病でな。自分の身を守ろうとして、此方が触れようとしてきただけでも、噛み付いてきたりする。それに、人が迂闊に触ると、親が育てなくなってしまうこともあるんだ」


風夜のその言葉に、慌てて手を引っ込める。


「ピー!」


そんなことには構わず、飛竜の子は親なのだろう一匹の後を追っていってしまった。