「!!日向君、お願い!」
「いいのか?」
「早く!お願い!」
「・・・わかった」
彼方が目を閉じて、気を集中させると同時に、花音達の足下に魔方陣が現れる。
そこから花音を引きずりだそうと、両親が手を伸ばしてきたが、それより先に早く視界が光に包まれた。
(お父さん、お母さん、行ってきます)
もう聞こえないだろうと思い、花音は心の中で呟いた。
光がなくなると、そこは花音が元の世界へ戻るときにいた門のある場所だった。
(戻ってきたんだ)
「ねぇねぇ、これからどうするの?」
辺りを見回していた花音に、未央の声が聞こえてくる。
「?」
その声に反応して、振り返った花音は、首を傾げた。
「なんか皆、違くない?」
「まぁ、こっちが本来の姿だからな」
少し雰囲気の違う蒼達の姿に、花音が言うとそう返ってきた。
「それと此方の姿では、この世界の名で呼んでくれ」
「えっと確か・・・、月城君が凍矢、梨沙ちゃんが琴音、未央ちゃんが美咲、日向君が刹那、飛鳥ちゃんが星夢・・・だったよね」
思い出しながら、言った花音に五人が頷いた時、何かが羽ばたく音が聞こえてきた。

