「・・・ん・・・?」

「花音!」


意識が回復し、目を開けた花音は、傍にいたらしい母に抱き締められて目を丸くした。


「お母さん?」

「よかった・・・、本当に」

「私・・・」

「帰ってきたら、貴女の部屋は荒らされてるし、姿もないから心配してたの。そしたら、月城君と日向君が貴女と風夜君を連れてきてくれてね。・・・陰の一族に、襲われたんですって」


その言葉に花音は慌ててベッドから下りる。


「花音?」

「お母さん!風夜は!?」

「客間よ。どうしたの、一体」

「ちょっとね」


そう返し、客間に向かう。本当に元に戻ったのかが気になった。


「風夜!」

「・・・花音?」


意識が戻っているのかも確かめず、飛び込んだ花音を中にいた風夜が少し驚いたように見る。

その表情が、だんだんばつの悪そうなものへ変わるのを見て、花音は口を開いた。


「・・・覚えてるの?」

「・・・ああ。全部な。・・・悪かったな」

「ううん。でも、よかった。またこうやって、話が出来て・・・。・・・おかえり」


そう言った花音に、風夜は少し目を見開いて、直ぐにいつもの表情へ戻った。


「ただいま」


その言葉に花音は笑みを浮かべた。