(お願い!元に戻って!)


飛び付くように風夜を地面へ倒し、彼の胸に手を当て、そのまま力を注ぎ込む。

再び別の力が加えられてきて、花音はその力に押しきられそうになるのを堪える。


(・・・これじゃ。さっきと状況が変わらない。もっと強い力じゃないと、もっと・・・!)


その強い思いに反応したように、ペンダントが光り出す。


(もっと強く!もっと、もっと・・・!)


ペンダントの光が強く、大きくなっていく。

(まだ、足りない!これじゃ、まだ風夜を助けられない!)


更に力を強めた時、ピキッと何かが割れるような音が聞こえてくる。

それと同時に、少しずつだが、自分の中に力が流れ込んでくるのを感じた。


(これなら、いける!)


風夜の身体を通してせめぎあっていた力が、徐々に向こう側へ傾いていく。


「うああああっ!」


それに手応えを感じて、一気に力をはねあげる。

その時、ペンダントが砕け散ったようにも思えたが、それを気にしているような状況ではなかった。


「うぐっ・・・、あああっ!」


苦痛の声を上げた風夜から、黒いものが飛び出し、消えていく。

意識を失い、倒れてきた彼を抱き止めた時には、花音自身も限界で、段々と意識が遠くなっていった。