「・・・っ・・・!」


花音の翳した手から光が溢れ、それを浴びた風夜の表情が歪む。


(!?何か出てきてる・・・!)


それと同時に、風夜の背から黒いものが浮き出てくるのが見えた。


「やっぱり、陰を直接乗り移らせていたか」


紫影の声が聞こえて、花音はそれを追い出せば、風夜を助けられると確信する。

徐々に力を強めていくと、風夜の身体から段々と陰が出てくる。


「・・・・・・花・・・音・・・・・・?」


自分の意識を取り戻したのか、呟いた風夜に笑いかける。


「ごめんね。あと少しだから・・・」


そう返して、一気に終わらせてしまおうとした時、別の方向から禍々しい、強大な力が加わったのを感じた。


「ぅぐああぁ」

「・・・っう・・・」


その瞬間、折角出せつつあった陰が風夜の中に戻り始める。

それに花音は、慌てて自分が出せる力を最大まで引き上げたが、それでも徐々に押し込まれていた。

再び目から光が消えた風夜が、剣を振り上げる。


「っ・・・」

「させないっ!」


それでも諦めたくなくて、手に意識を集中させていると、そう声がして花音の体に蔓が巻きつく。

そのまま、風夜から離すように引っ張られ、集中出来ず能力が中断される。

そのせいで、風夜の中に完全に陰が戻ってしまった。