「っ・・・」


再び襲ってきた風夜から走って逃げる 。

どうしてこんなことになっているのかわからない。

でも、風夜のことを攻撃することだけはしたくなかった。

そんなことを思いながら、走っていたが、不意に足元へ風の刃が打ち込まれて、花音は足を止める。

気付いた時には、花音の頭上を飛び越えた風夜が前に立ち塞がっていた。


「風夜?ねぇ、どうしちゃったの?」


冷たい表情のまま、花音を見ている風夜に声を掛けるが、返事は返ってこない。

それどころか、剣の周りに風を纏わせて、それを花音に振るおうとする。

その時、何かのメロディーのようなものが聞こえてきた。


「何・・・、この音・・・」

「ぅぐっ・・・」


聞こえてきた音に花音が呟いた時、風夜が呻いて、膝をつく。


「な、何・・・」

「「花音(ちゃん)!!」」


それを訳もわからずに見ていると、声と共に、両側から手を引っ張られた。


「今のうちに逃げるよ!」

「ほら、早く!」


声を掛けてきたのは未央と飛鳥で、花音は抵抗できないまま、引っ張られていく。

いつの間にかメロディーは聞こえなくなり、立ち上がった風夜の前に、蒼と彼方が立ち塞がっているのが見えた。