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「おや、何ですか?」

「何ですかって、お前・・・」

「何てことを・・・」


平然としている大臣とは違い、火焔達の表情は青ざめている。

その三人の視線の先には、血を流し、倒れている王の姿。


「・・・殺したのか?何故、そんなことを・・・。俺達の目的は・・・」

「宝珠を手に入れること。ですが、私の目的はそれだけじゃない。王家の血を絶やし、私が新たな王になる。その為には、王や二人の皇子、姫は邪魔者なのです」

「だからと言って・・・!」

「言葉を慎みなさい。新たな王になる私と皇子、皇女のあなた達ではどちらの地位が上なのか、わかるでしょう?」

「「「っ・・・」」」


火焔達が黙り、大臣は再び花音達の方を見てきた。


「さあ、お待たせしました。・・・何、心配はいりません。あなた方の兄弟もすぐに・・・」

「・・・・・・・・・か」

「?」


動きを封じられたまま、顔を俯かせていた風夜が何かを呟く。


「ん?何か言いましたか?」

「・・・・・・それだけか。お前が王になる・・・、そんなことの為だけに・・・、父上を・・・!」

「そんなこと?私はずっと王になりたかった。その長年の夢をそんなことだと言うのですか?」

「ああ、言うさ。そんな下らないことの為に、そんな下らないお前の夢の為に、父上が殺されたかと思うと、・・・腹が煮えくりそうだ!」


そこまで風夜が言った時、彼の雰囲気が変わった。

花音がそう感じたと同時に、魔族達が急に何かを警戒するようにざわつきだした。