「やれやれ、やはりこうなりましたか。・・・やれ」


大臣の言葉に、背後にいた者が一斉に動く。


「くっ、離せ!」

「風夜!」

「おっと、そっちの女も押さえておきなさい!」


風夜が拘束されたのを見て、動こうとした花音も動きを封じられた。


「さぁ、もう一度聞きましょう。宝珠は・・・」

「渡さないと言ったはずだ!」

「・・・そうですか」


風夜の言葉に、大臣の目が細められる。


「・・・仕方ない。やれ!」

「・・・駄目!やめて!」

「やめろ!」


魔族の鋭い爪が伸ばされるのを見て、二人は声を上げる。


「やめませんよ。さぁ、やりなさい!」


その瞬間、二人の目の前で王の身体は幾つもの鋭い爪に貫かれた。


王の身体がスローモーションのようにゆっくり倒れていく。


「父・・・上・・・?・・・父上ぇーー!!」


動きを封じられている風夜が手を伸ばすも、その手は届かない。


「はははっ、あーはははっ」


それを見て、大臣が笑い始める。


「王・・・様・・・」

「さぁて、次は・・・お二人の番ですよ」


ひとしきり笑った大臣が身動きを封じられている花音達を見る。


「や・・・」

「待て!」


その時、声がして、何処からか火焔達が現れた。