神蘭達も戻ってきて、全員で夕食を摂った後、花音は王に呼ばれ部屋を訪れていた。


「あれ?風夜」


王の部屋に入ると、同じように呼ばれていたのか風夜の姿があった。


「ああ、遅くに呼び出して悪かったね。どうしても話しておかなければならないことがあってな。・・・風夜のことだ」

「俺のこと?」

「正確には、お前に流れている血のことについてだ」


王の言葉に何を話されるのかわからなくて、花音は風夜と顔を見合わせる。


「今日、宝珠を取りにいった時、宝珠に拒絶されただろう?・・・それは、お前の中に流れている血、・・・・・・魔族の血が原因なんだ」

「!!」

「・・・俺の中の・・・魔族の血・・・」

「どういうことですか!?」


茫然としている風夜の代わりに、花音は聞き返す。

すると、王は一度溜め息をついて、話し始めた。

「話せば少し長くなるかもしれないが、いいか?」

「はい」

「これは、他の国の王族、空夜、風華も知らないことだ。もう何百年も昔の話だが、風の国の王族に魔族がいたことがある」



そこまで言い、王は風夜を見る。


「その時の王は、ある上級魔族の女と恋におちた。その時から、王家の血に魔族の血が混じり始めた。とはいっても、それは極少量のものだ。だが、稀にその血を強く受け継ぐ者が生まれてくるはずだ」

「・・・それが、俺か」


そう言った風夜に、王は頷く。


「そうだ。空夜と風華には、その血が流れていない。だが、風夜にはその血が流れている」

「でも、どうして今になってその話を?」

「風の国を占領しているのが魔族なら今、話しておいたほうがいいと思ってな。今までと違い、魔族が関わってくるなら、その影響を受けることもあるだろう。それなら、知らないままでいるより知っていたほうがいい」

「・・・・・・」


そこまで聞いたところで、風夜が席を立ち、部屋を出ていこうとする。


「風夜・・・!」

「・・・少し一人にしてくれ」


そう言い、出ていってしまった。