「ねぇねぇっ!比奈って甫芽クンと付き合ってんの?」

クラスの噂好きの子が聞いてきた。




『付き合ってんの?』


ビクンと体が跳ね上がった。

図書室で会うし,一緒に帰ったりするし,
事故だけどキス…したし…

だけど,告白なんてしてないし…
あの日から甫芽に会ってないし…


「ち…ちがうよぉっ!!」


笑って答えた。

本当は『うん』と言いたかった。


すると

「やっぱり?そうだよねぇ」

とその子が答える。


さも当然かの様に答えられたことに内心イラッと来てしまった。



「なんでそう思うの?」

苛立ちを隠さずその子に聞き返した私。




「え…だって」





間をあけて答えた。
まるで私の心臓の音を聞くかのように。





「甫芽クンてF組の汀紗と付き合ってんじゃん」