「一人の女として見てるつもりだよ」

言うことが大人だ。感心してる場合じゃねーや。

「俺、負けねーすから、佐伯さんに。」

「どうだろうね。決めるのはみちるだ」

淡々と話す佐伯さんには、余裕すらうかがえた。

静かに炎が燃える音が、聞こえてくるようだった。

「今日は終わりだー。みんな帰ってくれー」

監督がそう言うとみんな一斉に動き始めた。

「平瀬一緒に帰ろうぜ」

「あ。うん、わかった」

俺は、平瀬と一緒に帰った。

偶然とか、そんなんじゃなくて。

平瀬が俺しか見えなくなるくらい…つきまとう。俺にはそれしかできねーし。

「翔馬…?無理しないでね。明日試合なんだから。

このあと、走りに行くとか…」

「ねーから、心配すんな?」

俺は、平瀬の頭をポンポンと叩く。

「あ。いまちょっと子供扱いしたでしょ?」

「は?してねーよ」

笑いながら、帰ってるこの時間もずっと続くように…。

明日の試合も勝てるように…。

今日は、早く寝るか。