「…いないよ。」

今まで告白されたことは何度かあったけと、

断り続けた。その理由があたし自身わからなかった。

中にはあたしが、入学してきてカッコイイなって

思ってた人から、告白されたこともあった。

なんで、断っちゃったのかな。

「いないんだ」

少し笑い気味に言う翔馬に腹が立つ。

「なに?笑うんだったら聞かないでよね」

「ごめんごめん。笑うつもりはなかったんだよ」

「意味わからない。」

翔馬は立って、伸びをした。

「はぁ。よし。帰るか。付きあわせて悪かったな」

翔馬は手を差し出してきた。

あたしは、その手に空の缶をおいた。

「おいしかった。ごちそうさまでした」

「ったく。まだ怒ってんのかよ」

ブツブツ言いながらも、ゴミ箱に捨てる。

「じゃ、俺こっちだからさ」

「あ、そうなんだ。じゃ。また明日ね」

中学の時みたいに、分かれ道でそんな会話をした。

あの時の記憶と、あの時の気持ちが蘇ってくるような感覚に襲われた。

あたしはもう、翔馬のことは好きじゃない。

新しい恋を始めないとね。