平瀬は手を擦りあわせながら言った。

「手でも繋ぐか?」

手を差し出すと驚いた顔をした。

「怪我してるじゃん。大丈夫なの?」

「ああ。これ。大丈夫」

ならいいけど、という顔をした。

気づけばもう、平瀬の家の前まで来てた。

「じゃあな。また明日」

そう言って家の前を通り過ぎた。

「待って!」

振り向くと、困った顔で俺を見てた。

「鍵…忘れちゃった。」

「どこに?」

「家の中…」

「は?じゃ、ピンポンして「今日から出張で帰ってこないの!」

バカだ。平瀬本当にばか。

「ねー。どうしよ。」

「どんくらい、出張なんだ?」

「一週間くらいかな。」

そんくらいなら…

「まぁ、とりあえず俺の家来いよ。」

「え。でも、迷惑じゃ」

「家に入れないよりマシだろ?」