その日わたしは学校が終わっても家に帰らないでゲームセンターに立ち寄って遅くまで遊んでた。


夢ならとことん楽しまなきゃね!



そう思って遊び続けて...


時計を見ればもう12時近く。


とっくに携帯の充電は切れてて使えなかった。





そして、時計の針が12時をさした頃だった。


突然またあの頭痛がわたしを襲った。





もう、夢でまで頭いたいとか勘弁してよね...











...



「...ちゃん、結衣ちゃん!」


わたしは、自分の名前を呼ぶ声で起こされた。


もう頭の痛みはない。



ゆっくり目をけると、そこには晴人先輩が居た。


見回すとここは図書室。


いつの間にか机で寝てしまってたみたい。


「俺も忘れ物したの思い出して取りに来たら結衣ちゃんが寝てるからさ、びっくりしたよ。帰ろ?」


「晴人先輩が来てくれなかったらまだ寝てたかもしれないです、ありがとうございます」


わたしは自分の荷物をもって立ち上がると、先輩と図書室を出た。


結局家まで送ってもらって、何時間寝てたのか家に着いたのは21時すぎだった。


「結衣!電話もないし心配したじゃない!遅くなるときは連絡くらいしなさいよー?」


「はーい。」


リビングに入るなり怒られたわたしは、ちょっと不機嫌に返事をしてラップに包まれたご飯を食べた。


「あっ、ねーちゃん帰ってきてたんだ」


お風呂上がりの弟にそう声をかけられて、「うん」と返事をした。


そうすると弟はキッチンにいるお母さんに話しかけた。


「ねーちゃんまた帰ってこないかと思ったよな!あんとき大騒ぎなってさー。」


「えっ?なにそれ」


わたしは身に覚えのない弟の話に口を出す。


「は?覚えてないの?ほら、夜中の1時くらいに帰ってきたときあったじゃん。もう母さんカンカンでさ」


夜中の1時...?


なにそれ。


覚えてない。


「ねぇ、それいつの話...?」


「いつって...俺が1年だったから、ねーちゃんは中2じゃね?」




中2じゃね?


って、それまさか...


「ごちそうさま...」


「あれ?もういらないの?」


「うん...」


ご飯を半分以上残して自分の部屋に向かった。





わたしは真面目ではないけど、日付が変わるまで帰らないなんてこと今までしたことなかった。


ってことは、昼間のあれは夢じゃなかったってこと?





バカバカしいとわかってても、そんなことを考えてしまう。ぐるぐるまわる思考の中で、わたしはあの熊のキーホルダーのことと郁のことばかり考えていた。


もう一度郁に会えたら...


わたしはなにをするんだろう。