『痛い…』

昨日はみぃと別れたあと家に帰って
すぐにベッドに倒れ込む。

『ごめんね』

自分がそう呟いたのも知らずに、涙が
こぼれたのも知らずに私は眠った。

その結果、今に至る。

『どうしよう…この顔じゃ仕事にいけない』

そう思い、私は携帯を手に取って連絡をする。



先月の誕生日から一人暮らしを始めた私。

『寂しい…』

気を緩めるとこぼれてくる涙。

『…買い物行こう』

涙をふりきって外へ出る。あの人にもらった
マフラーをして。

この時間帯はいつも仕事中だからここに
いるなんて変な気分。

『……………風が気持ちいい』

気持ちの整理がつかない私にこの風は
心を落ち着かせてくれる。

少ししてスーパーに着いて、必要なものを
買って家へ帰る。来た道をぼーっ、としながら
歩いていると、後ろから強い力で腕を掴まれて
思わず振りほどこうとする。

「…覚えて、ない?」

『あ………』

腕を掴んだ主はマフラーをくれた人。

「ごめん、怖かった、よな…」

『い、いえ…!そんな、ことっ…』

否定するけど本当は怖かった。

「…いい、手が、震えてる…」

『…あ、これは…寒い、だけで…』

視界がぼやける。これが涙だと気づくには
時間はかからなかった。

泣きたくなんてなかった。特にこの人の
前では。そう思うのに涙は止まってくれない。

「…泣きたい、なら…泣けばいい」

その言葉が耳に入った頃には
この人の腕の中にいた。

『あ、の…』

「…俺が隠す、から」

その言葉に甘えることにした。