「ほんとにいいの…?」

『いいの。これ以上のこの気持ちには
意味がなくなるから。』

今まで何度も忘れようとした。でも、結局は
忘れられなかった人。

『みぃを見てて思った。』

「私?」

みぃの言葉に頷く。

『みぃはあんなに、ひーちゃんの事好きで。
それでも色んな人に出会って、彼以上に
好きな人を見つけることが出来た。』

私の隣で泣きそうな顔をしているみぃ。

『そんなみぃを見て私も変わらなきゃ、って
思ったの。だから…忘れる決意をしたの。』

(後悔しない?あんなに好きだった人だよ?)

誰かが心の中で話しかけてくる。

貴女は…誰?

(私は高校時代の貴女。これを見て)

走馬灯のように流れてきたのは
彼を好きだった頃の私。
笑って泣いて…ふと瞬間に思い出して。

『ありがとう。でも、私は大丈夫。…貴女も
辛かったよね。今までありがとう。
もう休んでいいよ』

今、私は笑えているのかな。

(…笑えてるよ。私は、もう行くね。
もう二度と私は貴女の前に現れることはない。
けど…これだけは忘れないで。
────私はずっと貴女の味方だから。)

私は心の中で何度もありがとう、と言った。

「心彩?」

『あ…考え事してた。』

「もう!行くよ!」

『あ、待ってよ!』

わたしと貴方は6歳の頃に出会った。
そんな貴方に私は恋をした。
10年後、貴方と再会した。
そんな貴方に私はまた恋をした。
─そして20年後。
この恋の…幕を閉じた。