~side 柊夜~

「ごめん、昨日…………遅れて…」

『それ昨日も聞いた。』

「……悪い」

なんか憎めないやつ、月影隼斗。

隼斗とは高校時代からの友達。

途中から転校してきた俺を受け入れてくれた。
高校を卒業してもこうして会っている。

『何もなかったんなら大丈夫』

「……変な奴、に会った」

『へぇ。どんな人?』

「見たところ…あんまり俺達と、年変わらないと思、う…なのに、雷、苦手な、やつ」

こんなに続けて話す隼斗、初めて見た。
そこまでさせる人は凄い。

『隼斗、マフラーは?』

ふと、気づいた。

「ああ…そいつにあげた…昨日、誕生日
だった、らしいから」

『あのマフラー、お気に入りだって
言ってなかったっけ?』

「まぁ………。あいつ、の笑顔見てたら
別に、いいや、って…思った」

基本、他人に興味を持たない隼斗。

『へぇ…。隼斗らしいな』

「どこ、が?」

『お気に入りの物なのにあげちゃうところ』

「……柊夜、もあげるだろ」

『まぁ、ね』

顔を見合わせて笑い合う。

これが隼斗にとっていい出会いになったのか、
本人はまだ分かっていないだろう。
でも、少なくとも俺にはいい出会いに
なったと思える。