~side 美音~

「じゃ、部活終わったら迎えに行くね!」

そう言う心彩と別れ体育館に行く。

『おー、やってるね』

1人で盛り上がっていると

「美音。」
と、呼ばれたので振り向く。

『要。』
私も呼ぶ。

ふと、思う。今みたいに"美音"って
呼ばれる事も、"要"って呼ぶ事も
出来なくなる日がくるのかな、って。
そんな日がくるとしたら私のせい。

「はいはい、皆集合!」
バスケ部のマネージャー、中原ゆうか先輩が
部員に声をかける。

「喜べ!新しいマネージャーよ!」

その言葉に
「よっしゃー!」
部員の1人が反応する。

それに合わせて部員から歓声が。

そんなにマネージャーいると嬉しいんだ、と
心の中で思う。面白い人達だなぁ。

「橋本美音ちゃんよ。」

『よろしくお願いします。』

軽く自己紹介をして明日から、ということで
心彩に連絡しようとして携帯を探す。

『あれ。ない、忘れたかな』

教室に忘れたかと思って取りに行く。

「美音、ほら」

後ろから声がした。

『あ、携帯!忘れたかと思ってた』

「落ちてたの拾った」

『ありがと、要』

こういう優しさがあるから好きになる。
きっと、私の他に要の事、好きな人いる。
だって、こんなにかっこいいんだもん。

でも、今は伝えない。だってこの関係が
壊れちゃうかもしれないから。

だから今はただそばにいたい。