~side 美音~

『早かったな、高校3年間』

卒業式が終わって教室に1人。
私が1人にしてほしいと頼んだ。

「だよな」

『宮坂くん!?』

また、だ。いつも突然現れる彼。

「ありがとな、ほんとに」

『それ、さっきも聞いたよ~。私の方こそ
ありがとう。』

好きになってくれて。

「俺さ。なんで橋本を好きになったか
分かんないんだよな。」

『本人目の前にして失礼だよ、それ!!』

「でも、気づいたら惹かれてた。意外と
子供っぽい所とか、飛鳥に対しては保護者
みたいな所とか。なんでもっと早く好きに
なってなかったのか、って今でも思うんだよ」

『でしょ?私って意外と…いいとこ、
あるんだからっ…!』

宮坂くんからの思わぬ言葉に涙が流れた。

「泣くな…って泣かせたのは俺か。」

腕を引っ張られて抱きしめられた。

『そう、だよ…。宮坂くんのせいだよ…』

私も早く出会いたかった、貴方と。