ようやく3人とも進路が決まった。
りんはピアノの先生になりたいって。
嬉しい。だけど進路が決まっていくと
"別れ"を感じる。

「心彩!」

『りん!』

久しぶりにりんと会う日。
みぃも誘ったんだけど忙しいみたい。

『もう7月だよ。実感ないなぁ』

「そういうもんよね。」

何気ない話をする。それが幸せ。

「…あれから2年たったのよね。」

『はは…ホントに早いよ』

そう、黒川くんがいなくなった日。

新しい学校でもモテてるんだろうな、って
考えちゃう。もう会えないのに。

「やっぱ好きだったんでしょ」

『なんない、っておもってなのになぁ…』

いっぱい泣いた日を思い出す。

あれも大事な思い出。

『会いたいなぁ』

「心彩…」

ついつい言っちゃった。

『ごめ、…』

また涙。

あの日から泣かなかったのに。
ここで泣いちゃダメなのに。
でも、涙が止まらない。

「すごいわね、泣けるなんて。」

『え?』

「私なんて柊夜を思ってもう泣けないもの」

笑ってた、りんは。

『私も笑う!』

「笑えないくせに」

『笑える、もんっ…』

うそ、笑えない。

「ついてきて」
と、どこかへ連れていかれた。