「ねぇ、いた?」

「いなーい」

「どこに行ったんだろ、宮坂先輩」

何なんだよ、今日は。
後輩、同級生、先輩に告白されて。
今は後輩に追いかけられてる。

『疲れた…』

ゆっくり休みてぇ…

「あ、いた!」

見つかったし…
逃げようとしたら誰かに引っ張られた。

『橋本?』

「しーっ!」

人差し指をたてて静かに、という合図を
出した。…いくつだよ、橋本。
…でも、可愛いって思ってしまった。

「行ったかな…」

『助かった、サンキュ』

「大変だね、人気者はー」

『それは慰めか、それとも楽しんでんのか』

「え、楽しんでる」

やっぱり、そういうやつだよな。
俺達は1年の頃から一緒にいるから
もう性格はわかっている。

「ごめんごめん。ま、困った事があったら
言ってよ。」

『橋本に?頼りになんねぇよ』

「えー!ちょっとー!!」

うそ、頼りにしてるから。

『ほら、行くぞ』
差し出した手。

「うん!」
握られたとき、思った。
"手、意外と小さいんだな"って。
女子なんだから当たり前か。
女子の手なんて触れたの小学生以来だから
わかんねぇよ。