お母さんに頼まれた買い物の帰り、
何気なく寄った公園。
『ここ…』
思い出した。ここでその男の子に会ったんだ。
でも、会ったのはその1日だけでいくら
待ってもその子は来なかった。
今なら言えるけど私、その男の子の事、
好きだったんだよね。初めて会ったのに。
これが私の初恋。
これ以上ここにいても何も思い出せない。
帰ろう、そう思って公園を後にした。
「飛鳥さん?」
『黒川くん!?』
なんで、こんなとこに?
「家、近いんだ。それに…ここに来ると
思い出す。1日だけ遊んだ女の子の事。
俺、その次の日引っ越したから、その子にさよなら言えなくてさ。だからここに来てる。」
『それ、って6歳の頃?』
「うん。ランドセル背負ってさみしそうにブランコ乗ってたから…気になって声をかけたんだ。まぁ、俺その時から笑わなくてさ。でも、その子の前では笑えたんだ。」
待って、じゃあ、あの時の子って…
『黒川くんだったんだ』
「え?」
『私も6歳の頃同じ体験をしたの。』
私が笑うと
「一緒だ。あの女の子の笑顔と一緒だ。」
私が悩んでいたパズルが解けた。