本能が逃げろという。

だけど僕は逃げなかった。
向かっていけば殺されるかもしれないのに。

ただ興味で向かったわけではない。
そこには血を流して倒れてる人がいたからだ。

その人は、陽司に似ている。

本能が言う。

“あれは陽司だ”と。

命が惜しくないわけがない。
だけど友達を見捨てるほど薄情にはなりたくない。
その一心だった。