いつも、放課後下の階の教室から聞こえてくる。
楽しげな笑い声や、口笛。
時に弾んだリズムを刻み、時に悲しそうに。
でも、楽しげな声が聞こえてくると、なかなかどうして心地が良かった。






あの日、部活の先輩に連れられて、生徒会室に行った。
窓を覗き込んで先輩の知り合いを呼ぶと、あなたが顔を出した。
段差があるからとても目線が高くて。
笑った顔が、優しかったのをまだ覚えてるよ。
名前も知らないあたしに、笑いかけて、話しかけてくれて。
なんだかとても、心が安らいだ。
先輩は違う人とおしゃべりをしてしまっていて、あたしはあなたに話しかけた。
すぐに窓際まで来てくれた。
さりげない優しさが目に見える。
少しだけ、あたしの心にそよいだ何かが言った。



「この人かな。」