誰かが声をかけている。眠いんだけど…。

「ねぇ、…起きてよ。次始業式だから。鍵閉めたいんだけど。」

女子か?

「…誰?そこにカギ置いといてよ。
ちょっとしたら向かうから。」

「無理。あと後ろの人も起こしてよ。
後2分しかないんだから早くして。」

後ろ? 誰だっけ…あっ優か。
こいつ寝るとなかなか起きないからな…。

最初誰か分からなかったけど、加藤か。
紹介しておくと、加藤奈美〈カトウナミ〉。
中学の時からの知り合い。他の女子らとは違ってキャーキャー言わないから時々話す、数少ない女友達だ。

「おい、優起きろ。始業式だってさ、早く。」


……起きねぇぞ。

「おい、優起きろよ。」

「…ん?零…と加藤? おはよー。」

「もうっ早くしてよ!始まるじゃんか。
だからこの2人は嫌なのよ…。」

なら放って先に行けよ。別に俺らが怒られるだけじゃん。寝てて起きませんでしたって言えばさ…

ガラガラッ

ふとドアが開いた。





……やばっ




「あっれー?宮崎せんせじゃん。始業式はどうしたのかな⁇」

「どうしたのかな⁇じゃねぇ、島崎!!加藤に迷惑かけんな!!」

「そのメーワクを押し付けたのは他でもないせんせじゃねぇの?」

…ギャーギャー。うるさいし長いしなんなのこいつら。
加藤は深いため息をついた。
俺もそんな気分だ。マジで疲れる。

2人を放っておいて加藤と教室を出ることにした。