彼の後ろにいる女の人は、私のことを知っていたのかしら。 だからあんなに恨めしそうに、私のことを見ているのかしら。 「はぁ…」 彼から少し距離を取って、鞄に手をつける。 昨日買った“ソレ”が、どうしようもなく邪魔で、いらない。 袋に入った“ソレ”を取り出して、思い切り彼に投げつける。 「じゃあ、さよなら。」 彼の胸に当たって、落ちた“ソレ”は。 少しマイナーな小説の、第二巻。 少し前に彼が、ほしいと言っていたものだった。